『RED ネタバレ~映画を楽しむために』
こちらの作品は直木賞作家の島本理生さんの作品を映画化したものです。
内容について触れる前に、この映画は明日は我が身と思える様なよくありそうな人間関係や倫理観を表現しています。
その事を踏まえて大切なのは「どの登場人物に感情移入するのか」と言う事を意識しながら見ていれば自ずと見方が変わるかと思います。
とりあえずストーリーに入る前の大前提として、「不倫はいけない事」を頭に入れながら読み進めていってくれればと思います。
大雑把に登場人物を紹介していきましょう。
・村主塔子(過去に鞍田と不倫経験あり)・・・夏帆
・鞍田秋彦(現在バツイチとなっている)・・・妻夫木聡
・村主真(塔子の旦那)・・・間宮祥太朗
・村主翠(塔子の娘)
・小鷹淳(塔子に好意を抱く同僚)・・・柄本佑
勿論、まだまだ登場人物はいるんですが全て出してしまうと短編小説並みになってしまうのでこちらでストーリーの紹介をさせて頂きます。
あらすじ
誰もが羨むイケメン夫(間宮祥太朗)と可愛い娘に囲まれて高級住宅に住む塔子(夏帆)ある日友人の結婚式で過去に不倫していた鞍田(妻夫木聡)と出会ってしまいます。
これまで塔子は夫には姑の味方をされ、女性として扱ってもらえず、復職したいと云っても却下されたりとかなり我慢の日々を過ごしていました。
ひょんかキッカケで鞍田と二人で飲み語らう時があり、酔ってフラフラだった塔子はトイレで鞍田に犯されてしまいます。言葉では拒否していても心と体は応じていたのです。
それから鞍田を遠ざける塔子でしたが、度々アプローチをかけ仕事の復帰や彼女の要望を叶える手助けをしていくのでした。
塔子は結婚しても共働きの約束をしていたにも関わらず、それを反対された夫への反抗心もあり鞍田の会社で契約社員として塔子は働き始めるのでした。
その会社の同僚であるキャバクラ狂いの軽薄な同僚の小鷹(柄本佑)にも次第に心惹かれるようになり、自問自答の日々を過ごします。
仕事が順調になるにつれて真や翠との関係は悪化していきました。塔子(自分)の母親からも確信を突く事を言われ、鞍田との関係にも不和が生じて鞍田から離れるのでした。
体調を崩した鞍田の代わりに新潟で仕事を進める塔子。しかし大雪にて新幹線が止まり帰れない状態になりました。
真へ電話しても「今すぐ帰れ」の一点張りの為、塔子は反発するのをやめて雪の中を歩き出しました。そこにはいるはずのない鞍田が立ってました。
そして帰りの車中、離婚の決意をしていた塔子へまさかの「離婚は考えなくていい」と言います。戸惑いながらも、鞍田の体調が悪いので途中でホテルに泊まります。
鞍田がシャワーを浴びてる時に塔子はある衝撃的な事実を知るのでした。鞍田の病気(血液のガン)が悪化して再入院するとの事。そして最後に「抱きたい」と言い二人は一緒に寝るのでした。
そう、鞍田は自分の体調ともう長くはない事を知っていたから塔子との関係をこれで終わらそうとしたのです。
そして、塔子が家に帰ると真は不機嫌でした。やがて口論となり、塔子も本音をぶちまけましたが収集がつかず「私この家を出る」と言い、夫の制止を振り切って翠を連れて出ていくのでした。
そしてお互いが冷静になった頃、改めて真は塔子の暮らす家に行き、話し合いをしました。この時はちゃんと塔子の話を聞いてくれました。そして真は「三人で暮らそうか」と言うのです。
驚きながら塔子は確認しました。そしたら真も「夫婦でゆっくり会話して翠とたっぷり過ごして、別に実家はそんなに離れてなければいつだって行ける訳だし」と言い塔子も喜び納得しました。
これで全てが丸く収まったと思いましたが、姑と真の会話をたまたま聞いてしまいます。その内容は「いきなり皆いなくなると淋しい」と言う姑に対して「本当は家を出たいと思ってないし、今のままでも満足なんだ」と真は返します。
それを聞いて塔子の心は完全に折れ、音も立てずに家を飛び出し、エピローグへと向かいます。
エピローグでは結局三人でマンション暮らしをしています。そして翠は中学か高校くらいになってます。
塔子か鞍田と会ったことの僅かな記憶から自分は本当の両親の子ではないのかと思い込み、自ら命を絶とうとしてしまいます。
結果的に女性として、妻として、母親としての役割を完璧にこなそうとした塔子に待っていたことなのかも知れません。
この映画は冒頭で述べたように、不倫はいけない事なのですが本当に不倫をした塔子だけが悪いのか?と考えさせられる内容となっています。
真のように妻を自分の道具の様に見て、育児も参加せず、親の味方をしている夫は本当に何の落ち度もないのか?となります。
また、鞍田も結婚して夫と子供もいる塔子に近付いてしまいました。でもちゃんと女性として見てあげて親身になり、自分の最期を知っていてせめて好きな人と一緒にいたい願望をどう見るのか?
そして塔子自身もゆるい倫理観ではない女性だったにも関わらず、日々の我慢の連続の中で、せめてもの息継ぎを求めていた気持ちを無視して悪いのは貴女だと言えるのか?
そうした意味では「誰に感情移入するのか?」によって見方が全然変わってくる内容となります。
不倫だけど何故か純愛にも感じ得るこの映画は観た後にどんな感想を持つのか?誰のポジションに一番気持ちを揺さぶられたかを話し合う事で本当の面白さを感じられると思います。
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